ゾンビより怖いのは人間? 家の中で意見が分かれる人々と、協力して窓をふさぐ人々、外からのぞくかわいいゾンビのイラスト

ゾンビより怖いのは人間?『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』から学ぶ協力の大切さ

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もしも、ある日突然、町にゾンビが現れたら、みなさんはどうしますか?

安全な場所に逃げるでしょうか。それとも、誰かに助けを求めるでしょうか。

きっと、一人でいるよりも、みんなで協力したほうが安心できそうですよね。

ところが、今回紹介する映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』では、少し困ったことが起こります。

ゾンビから逃げてきた人たちが、一軒の家に集まるのですが、なかなか協力できないのです。

「ここにいたほうが安全だ!」

「いや、別の場所へ移動するべきだ!」

みんな助かりたいと思っているのに、意見がぶつかってしまいます。

どうして、こんなことになるのでしょう?

今回は、ゾンビの怖さだけでなく、人間が怖いと感じたとき、どんな行動をとるのかについて、一緒に考えてみましょう。

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』ってどんな映画?

1968年に生まれたゾンビ映画の名作

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は、1968年にアメリカで公開されたホラー映画です。

監督はジョージ・A・ロメロ。

現在のゾンビ映画につながる、大きな影響を残した人物です。

この映画は、白と黒だけで作られた「モノクロ映画」です。

今の映画のようにカラフルではありませんが、暗い部屋や人の表情が、かえって不気味に感じられます。

実は、この映画より前にもゾンビ映画はありました。

しかし、死んだ人間が動き出し、生きている人間を襲うという、現在よく知られているゾンビのイメージを広めた重要な作品なのです。

ちなみに、映画の中では「ゾンビ」という言葉は使われていません。

ちょっと意外ですよね。

ゾンビから逃げてきた人たちが一軒の家に集まる

物語は、バーバラという女性が兄と一緒にお墓を訪れる場面から始まります。

ところが、そこで恐ろしい出来事が起こり、バーバラは近くの家へ逃げ込みます。

そこへ、ベンという男性もやってきます。

やがて、家の中にはほかにも人がいることがわかります。

みんな、外にいる恐ろしい存在から身を守ろうとしているのです。

しかし、その家は決して安全とはいえません。

窓の外にはゾンビが近づいてきます。

家の中にいる人たちは、どうすれば生き残れるのでしょうか。

ここから、ゾンビだけでなく、人間同士の問題も始まります。

ゾンビがいるのに、どうして人間同士でけんかするの?

ベンとハリーの意見がぶつかる

この映画で注目したいのが、ベンとハリーという二人の男性です。

ベンは、家の窓やドアをふさいで、ゾンビが入ってこないようにしようとします。

一方、ハリーは、地下室に隠れるほうが安全だと考えます。

ベンは家の一階を守ろうとし、ハリーは地下室を安全な場所だと考えているのです。

どちらも、ゾンビから身を守りたいという気持ちは同じです。

それなのに、二人はなかなか意見を合わせられません。

ここで考えてみましょう。

ベンとハリーは、どちらが正しいのでしょうか?

実は、簡単には決められません。

地下室なら、外からゾンビが入ってくる場所を減らせるかもしれません。

しかし、もし地下室にゾンビが入ってきたら、逃げ道が少ないという問題があります。

一階にも危険はありますが、外の様子を確認したり、別の場所へ移動したりできる可能性があります。

どちらにも、よいところと心配なところがあるのです。

本当に必要だったのは、相手の意見を聞いて、一緒に考えることだったのかもしれません。

人は怖くなると、自分のことしか考えられなくなる?

怖いときは、冷静に考えるのが難しい

みなさんは、学校で突然、大きな音が鳴って驚いた経験はありませんか?

びっくりすると、思わず走ったり、大きな声を出したりすることがありますよね。

怖いと感じることは、人間にとって自然な反応です。

危険から自分を守るために、必要な気持ちでもあります。

ただし、強い恐怖を感じると、落ち着いて考えることが難しくなる場合があります。

映画に登場する人たちも同じです。

いつゾンビが入ってくるかわからない状況では、誰だって不安になります。

すると、自分の考えが一番安全だと思い込み、ほかの人の意見を受け入れにくくなることもあります。

このような人間の心の動きが、映画では描かれていると考えられます。

家族を守りたい気持ちも、意見の違いにつながる

ハリーには、守りたい家族がいます。

家族を危険な目にあわせたくないという気持ちは、決して悪いことではありません。

ベンもまた、家にいる人たちが助かる方法を考えています。

つまり、二人にはそれぞれ理由があるのです。

しかし、「自分の考えが絶対に正しい」と思ってしまうと、協力することが難しくなります。

相手にも大切な人がいて、心配していることがある。

そんなふうに考えられたら、二人の関係は少し変わっていたかもしれません。

本当に怖いのはゾンビ? それとも人間?

ゾンビは外にいる。でも、人間の問題は家の中にある

この映画には、不思議な特徴があります。

外にいるゾンビは恐ろしい存在ですが、家の中にも別の怖さが生まれていくのです。

それは、人間同士の対立です。

「自分の言うことを聞いてほしい」

「相手の考えは間違っている」

そんな気持ちが強くなると、同じ場所にいる仲間なのに、まるで敵のように感じてしまうことがあります。

ゾンビは人間を襲います。

しかし、人間は言葉や行動によって、仲間を傷つけてしまうことがあります。

人間同士が信じ合えなくなることも、ゾンビとは違った怖さなのです。

人間は悪者ばかりなの?

ここで、一つ大切なことがあります。

この映画に登場する人たちを、単純に「よい人」と「悪い人」に分けないことです。

もちろん、登場人物の中には、ほめられない行動をする人もいます。

けれど、恐怖の中で間違った判断をしたからといって、その人のすべてが悪いとは限りません。

誰でも怖いときには失敗する可能性があります。

だからこそ、映画を見るときには、

「どうして、この人はこんな行動をしたのかな?」

と考えてみてください。

登場人物の気持ちを想像すると、物語がもっと深く理解できるようになります。

もしも学校で同じことが起きたら?

意見が違うときは、どうすればいい?

少しだけ、学校生活に置き換えて考えてみましょう。

例えば、文化祭でクラスの出し物を決めることになりました。

ある人は、お化け屋敷がいいと言います。

別の人は、ゲーム大会がいいと言います。

どちらも、楽しい文化祭にしたいという気持ちは同じです。

それなのに、自分の意見ばかり主張していたら、話し合いは進みません。

そんなとき、大切なのは相手の話を聞くことです。

「どうして、お化け屋敷がいいと思ったの?」

「ゲーム大会には、どんなよさがあるの?」

こんなふうに、お互いの理由を知ることから始めてみましょう。

すぐに意見が一致しなくても大丈夫です。

意見が違うことと、仲が悪いことは同じではありません。

協力するために必要な三つのこと

映画の登場人物たちに、何かアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えますか?

私は、次の三つが大切だと思います。

一つ目は、相手の話を最後まで聞くこと。

途中で否定せず、どうしてそう考えたのかを知ることが大切です。

二つ目は、みんなの目的を確認すること。

ベンもハリーも、本当は生き残りたいという気持ちは同じでした。

同じ目的を持っていることに気づけば、協力できる可能性が広がります。

三つ目は、一人で決めつけないこと。

自分の考えが必ず正しいとは限りません。

ほかの人の意見を聞くことで、新しい方法が見つかることもあります。

もちろん、実際の災害などでは、安全を最優先にして、先生や避難を指示する人の話を聞いてくださいね。

映画が作られた1968年は、どんな時代だったの?

映画には、その時代の社会も映し出される

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が公開された1968年、アメリカでは、人種差別や戦争など、社会のさまざまな問題が大きな話題になっていました。

この映画で中心人物となるベンを演じたのは、黒人俳優のデュアン・ジョーンズです。

映画の中では、人々が協力できず、互いを信じられなくなる様子が描かれています。

そのため、映画を研究する人たちの中には、人種差別や社会の対立と結びつけて考える人もいます。

ただし、ロメロ監督が最初から人種差別をテーマにして主人公を選んだ、というわけではありません。

映画には、作った人が伝えようとしたことだけでなく、見る人が時代や経験を通して感じ取る意味もあります。

少し難しい話ですが、これも映画の面白さの一つです。

昔の白黒映画なのに、どうして今も注目されるの?

怖さの理由が、ゾンビだけではないから

1968年といえば、今から何十年も前です。

映画の撮影技術も、今とは大きく違います。

それなのに、この作品は現在でもゾンビ映画の歴史を語るうえで重要な存在です。

その理由の一つは、ゾンビの怖さだけでなく、人間の弱さや対立を描いていることだと考えられます。

ゾンビが現れることは、現実にはありません。

でも、人と意見が合わなかったり、怖くて冷静になれなかったりすることは、誰にでもあります。

だから、昔の映画であっても、今の私たちが考えられることがあるのです。

ちなみに、この映画は1999年にアメリカの国立フィルム登録簿に選ばれました。

映画の歴史や文化にとって、大切な作品だと評価されたことがわかります。

ホラー映画が苦手でも楽しめるの?

無理に怖い場面を見る必要はない

ここまで読んで、映画に興味を持った人もいるかもしれません。

ただし、一つ注意してほしいことがあります。

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』は、古い白黒映画だからといって、怖くない作品ではありません。

ゾンビが人間を襲う場面や、血が出る場面など、刺激の強い表現があります。

そのため、特に小学生やホラーが苦手な人には、気軽な視聴をおすすめできません。

見る場合は、保護者と相談し、視聴する作品の年齢区分や内容を確認してください。

もちろん、映画を見なくても、この記事を読んで物語について考えることはできます。

怖い映像を見ることだけが、ホラー映画の楽しみ方ではないのです。

まとめ|ゾンビ映画から人間の心について考えてみよう

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』には、たくさんのゾンビが登場します。

しかし、物語の中で注目してほしいのは、ゾンビから逃げる人間たちの行動です。

助かりたいという気持ちは同じなのに、なかなか協力できない。

自分が正しいと思うほど、相手の意見が聞こえなくなってしまう。

そんな人間の姿が描かれています。

では、最後に一つ質問です。

もし、みなさんがあの家の中にいたら、ベンとハリーにどんな言葉をかけますか?

「けんかしないで!」

「みんなで話し合おう!」

それとも、二人とは違う新しい方法を考えるでしょうか。

答えは一つではありません。

大切なのは、どうすればみんなが協力できるのかを考えることです。

ゾンビ映画は、ただ怖いだけの映画ではありません。

ときには、友達との関係や、人を信じることの大切さについて考えるきっかけにもなるのです。

次にゾンビ映画の話を聞いたときには、怪物の怖さだけでなく、そこに登場する人間たちの気持ちにも注目してみてくださいね。

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