ホラー映画と聞くと、幽霊やゾンビ、恐ろしい怪物が登場する映画を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
突然、大きな音が鳴ってびっくりしたり、暗い場所から何かが現れたり。怖いのが苦手な人にとっては、ちょっと見る勇気が必要な映画ですよね。
でも、昔のホラー映画と今のホラー映画では、怖がらせる方法に違いがあることを知っていますか?
昔は白黒の映像や不気味な影を使って、観客の想像力を刺激していました。
一方、今のホラー映画では、CGという技術を使って、本当に怪物がそこにいるような映像を作ることもできます。
今回は、昔と今のホラー映画を「映像」「音」「物語」の3つに分けて比べてみましょう。
怖い映画が苦手な人でも楽しめるように、できるだけやさしく説明していきます。
昔のホラー映画はどんな映画だったの?
白黒の映像だけでも人を怖がらせることができた
今から100年ほど前には、すでにホラー映画が作られていました。
当時の映画には、今のように俳優の声や物音が録音されていない作品もありました。
こうした映画はサイレント映画と呼ばれています。
では、声も聞こえない映画で、どうやって人を怖がらせていたのでしょうか。
その答えの一つが、影と表情です。
例えば、1922年に公開された『吸血鬼ノスフェラトゥ』には、吸血鬼の不気味な影を使った有名な場面があります。
暗い壁に長い指の影が映るだけでも、何か恐ろしいことが起こりそうな気分になります。
怪物が大声を出さなくても、見る人の想像力によって怖さが生まれるのです。
昔の怪物は特殊メイクで作られていた
昔のホラー映画に登場する怪物は、俳優が特殊なメイクや衣装を身につけて演じることがよくありました。
顔を白く塗ったり、目の周りを黒くしたり、人工の傷やしわをつけたりして、人間とは違う姿を作ります。
これを「特殊メイク」と呼びます。
また、人形を動かしたり、カメラの撮り方を工夫したりして、不思議な生き物を表現する方法もありました。
今の映画と比べると、少し作り物らしく感じることもあるかもしれません。
それでも、当時の映画を作った人たちは、限られた道具と技術を使って観客を驚かせる方法を考えていたのです。
今のホラー映画は何が進化したの?
CGを使って本物のような怪物を作れる
今のホラー映画で大きく進化したものの一つが、映像技術です。
CGとは「コンピューターグラフィックス」の略で、コンピューターを使って映像を作ったり加工したりする技術です。
例えば、現実には存在しない巨大な怪物や、不思議な生き物を画面に登場させることができます。
空を飛ぶ怪物、奇妙な動きをする生き物、現実にはありえない建物なども表現できます。
ただし、今の映画がすべてCGで作られているわけではありません。
特殊メイクや人形を使った撮影とCGを組み合わせることもあります。
昔から使われてきた技術も、現在の映画作りに役立っているのです。
映像がきれいになると怖さも変わる?
昔の映画は白黒だったり、画面がぼんやりしていたりすることがありました。
一方、今の映画では、暗い部屋の小さな物や、怪物の細かな動きまで鮮明に見せることができます。
そのため、まるで自分が映画の世界に入り込んだように感じることがあります。
しかし、何でもはっきり見せれば怖くなるわけではありません。
実は、怪物の姿を全部見せず、少しだけ見せた方が怖く感じる場合もあります。
昔の映画でも今の映画でも、何を見せて、何を隠すか、は大切な工夫なのです。
昔と今では音の使い方も違うの?
昔のホラー映画は音楽でも怖さを伝えた
サイレント映画の時代には、上映中にピアノなどで音楽を演奏することがありました。
暗いお城の場面でゆっくりした音楽が流れたり、危険が近づく場面で速い音楽が流れたりすると、観客は登場人物の気持ちを想像しやすくなります。
音楽には、映像だけでは伝えにくい気持ちを表現する力があるのです。
その後、映画に声や物音がつくようになると、ホラー映画の表現はさらに広がりました。
床がきしむ音、誰もいないはずの部屋から聞こえる足音、遠くで閉まるドアの音。
こうした身近な音も、ホラー映画では怖さを感じさせる道具になります。
今のホラー映画は静けさまで利用する
今のホラー映画では、音をどの方向から聞かせるか、どのくらい小さくするかなど、細かい調整ができます。
例えば、静かな廊下を登場人物が歩いている場面を想像してください。
「コツ、コツ、コツ……」
足音だけが聞こえます。
その音が突然止まったら、どう感じるでしょうか。
「何かが起きるのかな?」
そう思って、画面に集中してしまうかもしれません。
2018年公開の『クワイエット・プレイス』は、音を立てると危険が迫る世界を描いた作品です。
登場人物たちは静かに暮らす必要があり、わずかな物音にも緊張が生まれます。
このように、ホラー映画では、大きな音だけでなく、静けさも重要なのです。
ホラー映画の物語はどう変わってきたの?
昔は怪物やお化けが登場する物語が代表的だった
昔のホラー映画には、吸血鬼、幽霊、科学によって生み出された怪物などが登場する作品がありました。
不気味なお城や暗い森、古い屋敷など、普段の生活とは違う場所が舞台になることもあります。
観客は、知らない世界に足を踏み入れるような気持ちで映画を楽しめました。
また、怪物が登場する物語には、人間が知らないものを怖がる気持ちや、科学の力をどこまで使ってよいのかという疑問が込められていることもあります。
つまり、怪物が登場する映画も、ただ人を驚かせるだけではなかったのです。
今は身近な生活の中にも怖さがある
今のホラー映画には、普通の家族や学校、友達との関係など、身近な世界を舞台にした作品もあります。
例えば、誰もいない部屋から音が聞こえる、友達が突然いつもと違う行動をする、家の中で説明できない出来事が続く、といった物語です。
こうした映画は、観客にもし自分の身に起こったら?と想像させます。
ただし、身近な場所を舞台にしたホラー映画は昔からありました。
最近になって初めて登場したわけではありません。
昔と今の映画は、まったく別のものではなく、長い時間をかけてさまざまな表現を受けついできたのです。
昔と今のホラー映画を比べてみよう!
映像・音・物語の違いを整理してみる
昔と今のホラー映画には、次のような特徴があります。
映像の違い
昔:白黒映像や影、特殊メイクなどを利用する作品が代表的でした。
今:CGや鮮明な映像を使い、現実には存在しないものも表現できます。
音の違い
昔:サイレント映画では音楽や俳優の表情などが重要でした。音声つき映画の登場後は効果音も活用されました。
今:細かな効果音や音の方向、静けさなどを利用して緊張感を作れます。
物語の違い
昔:吸血鬼や怪物、不思議な世界を描く作品が代表的でした。
今:怪物だけでなく、家族や友達など身近な人間関係の不安を描く作品もあります。
もちろん、これらは代表的な特徴です。
今でも白黒のホラー映画は作られていますし、昔の映画にも日常生活を舞台にした作品があります。
技術が進歩しても変わらないものがある
映画の映像や音は、長い年月をかけて進歩してきました。
しかし、人間が怖いと感じる気持ちそのものは、技術だけで決まるわけではありません。
暗い場所に何かがいるかもしれない。
知らない足音が聞こえる。
姿の見えない誰かが近づいてくる。
こうした場面でドキドキする気持ちは、昔の映画でも今の映画でも利用されています。
ホラー映画が苦手でも楽しめる方法はある?
怖い場面を無理して見る必要はない
ホラー映画に興味はあるけれど、怖い場面を見るのが苦手という人もいるでしょう。
そんなときは、無理に映画を最後まで見る必要はありません。
映画のあらすじを読んだり、怪物の作り方を調べたりするだけでも、ホラー映画について学ぶことができます。
また、映画の対象年齢や内容を保護者と確認することも大切です。
小学生や中学生でも、怖いものへの感じ方は人によって違います。
友達が平気だからといって、自分も平気になる必要はないのです。
映画を作る人の目線で見てみよう
怖さを少し違う角度から楽しむ方法もあります。
例えば、映画を見ながら「この影はどうやって作ったのかな?」「どうしてここで音楽が止まったのかな?」と考えてみることです。
そうすると、ただ怖がるだけでなく、映画を作った人たちの工夫にも気づけます。
怪物のメイクをする人、音を作る人、カメラで撮影する人。
ホラー映画は、たくさんの専門家たちが協力して作り上げる作品です。
怖い場面の裏側を知ることが、映画への興味につながるかもしれません。
昔と今、どちらのホラー映画が怖いの?
怖さの感じ方は人によって違う
ここまで昔と今のホラー映画を比べてきましたが、結局どちらが怖いのでしょうか。
実は、これには決まった答えがありません。
怪物の姿がはっきり見える方が怖い人もいれば、暗い場所に何がいるのかわからない方が怖い人もいます。
突然の大きな音が苦手な人もいれば、静かに何かが近づいてくる場面が苦手な人もいるでしょう。
ホラー映画の面白いところは、同じ作品を見ても、人によって感じ方が違うことです。
映画の怖さには作り手の工夫が隠されている
昔の映画監督も、今の映画監督も、観客にどんな気持ちを味わってもらうかを考えながら作品を作っています。
昔は影や特殊メイクを使い、今ではCGや細かな音の演出も利用できるようになりました。
それでも、観客の想像力を刺激するという大切な工夫は変わっていません。
怖い映画が苦手な人も、まずは映画の歴史や映像の仕組みからホラーの世界をのぞいてみてください。
怖い!と思っていた場面にも、映画を作る人たちの知恵や努力が隠れていることに気づくはずです。
次にホラー映画のポスターや予告編を見るときには、ぜひ映像や音の使い方にも注目してみてください。